バックオフィス効率化|自社でやるか外注するか

バックオフィス効率化の近道は、経理や総務といった売上に直接つながらない間接業務(ノンコア業務)を外注し、社員の時間をコア業務へ戻すことです。効率化は、すべてを自社で抱えることでも、やみくもに外注することでもありません。業務ごとに、自社でやるか外注するかを見極めることが出発点になります。この記事では、外注する業務と自社に残す業務の切り分け方、内製と外注のコスト比較、失敗しない進め方を、人手不足の中小企業の視点で整理します。
まず「外注する業務」と「自社に残す業務」を切り分ける
バックオフィスの効率化は、まず業務を「外注する・自社に残す・専門家に頼む」に切り分けることから始まります。全部を出す必要も、全部を抱える必要もありません。
判断の目安は、業務の性質です。定型で機密性の低い業務は外注に向きます。逆に、経営判断や評価のように答えを出す業務、機密性の高い情報を扱う業務は自社に残します。
| 業務の例 | 性質 | 向く選択 |
|---|---|---|
| データ入力、記帳の下ごしらえ、請求書発行 | 定型・量が多い | 外注に向く |
| 経営判断、人事評価、機密性の高い情報の扱い | 非定型・機密 | 自社に残す |
| 税務申告、社会保険の手続き | 資格が必要 | 専門家(士業)に頼む |
自社でやるコストと、外注するコストを比べる
自社でやるコストは給与だけでなく、社会保険料や採用・教育・設備まで含めて考える必要があります。給与額だけを見ると、判断を誤ります。
各社の解説によると、内製の年間総コストは給与の1.2〜1.5倍が目安とされています(社会保険料・採用費・教育費・設備費を含む。株式会社LASSIC ほか、2026年9月時点。正確には自社実績での試算が前提)。一方、外注は月5万〜15万円の定額が中小企業に多い水準です(各社の相場情報、2026年9月時点)。
| 区分 | 含まれる費用 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 自社でやる(内製) | 給与+社会保険料・採用費・教育費・設備費 | 年間で給与の約1.2〜1.5倍 |
| 外注する | 月額の委託料(時間制・月額固定・タスク制) | 月5万〜15万円の定額が中心 |
比べるのは、給与ではなく総額です。 給与額だけで「自社の方が安い」と判断し、採用・教育・設備の負担を見落とすと、かえって割高になる場合があります。人を1人増やす前に、外注との総額比較を一度行うことをおすすめします。
どの業務から外注すると効果が出るか
外注で効果が出やすいのは、定型で量のある業務です。データ入力や記帳の下ごしらえ、請求書の作成・発行、各種調査などが当てはまります。
ただし、外注できない業務があります。税務申告は税理士、労働・社会保険の手続きは社会保険労務士、官公署へ提出する書類の作成は行政書士の業務で、無資格の代行会社には任せられません。発注者が受託先の担当者へ直接こまかく指示する使い方も、偽装請負にあたるため避ける必要があります。
| 外注で効果が出やすい業務 | 外注できない業務(頼む先) |
|---|---|
| データ入力、記帳の下ごしらえ | 税務申告・税務書類の作成(税理士) |
| 請求書の作成・発行、各種調査 | 労働・社会保険の手続き(社会保険労務士) |
| 発送準備などの定型作業 | 官公署へ提出する書類の作成(行政書士) |
迷ったら、影響の小さい業務から始めると失敗しにくくなります。外注できない業務の詳しい線引きはBPOとはで解説しています。事務作業全般の任せ方は事務代行とは、書類作成の具体例はパソコンの書類作成代行で扱っています。
失敗しない外注の進め方
外注を成功させる鍵は、業務を見える化してから小さく試すことです。丸投げでは回りません。以下の順で準備すると、立ち上がりが安定します。
- 任せる業務を洗い出し、手順を書き出して見える化する
- 影響の小さい業務を1つ選び、まず試す
- データの受け渡し方法と、秘密保持の取り決めを決める
- 社内にも手順を残し、丸ごと依存しないようにする
- 定期的に見直し、任せる範囲を調整する
影響の小さい業務から1つ試すのが、無理のない進め方です。棚卸しをしないまま全部を一度に外注すると、指示ややり直しが増えて、かえって非効率になる場合があります。社内にも手順を残すと、担当が代わっても業務が止まりません。
依頼先の選び方と、相談の始め方
依頼先は「自社に近い規模の実績」「対応できる業務範囲」「情報の扱い」の3点で選べば十分です。料金だけで選ばないことが大切です。
| 見る観点 | 確認するポイント |
|---|---|
| 規模の近さ | 自社と同じくらいの規模で受託した実績があるか |
| 対応範囲 | 任せたい業務に対応できるか。できない業務は何か |
| 情報の扱い | データの受け渡し方法と秘密保持の体制があるか |
対応できる業務範囲と、情報の授受・秘密保持の体制は、契約前に必ず確認します。当社も請求書業務や県ごとの事業所調査、動画制作、ECサイトの作成・運用などを受託しています。その立場から、外注する業務と自社に残す業務の切り分けを、運用上の前提にしています。
はじめは1つの業務から任せて、様子を見ながら範囲を広げる進め方が無理なく続きます。
参考
- 情シス365「バックオフィス外注の判断基準(内製・外注・ハイブリッド)」(確認日 2026-09-11)
- https://www.josis365.com/blog/backoffice-outsourcing-decision-guide/
- 株式会社LASSIC「内製化と外注のコスト比較」(確認日 2026-09-11)
- https://lassic.co.jp/media/column/insource-outsource-cost/
- パーソルビジネスプロセスデザイン「バックオフィスのアウトソーシング」(確認日 2026-09-11)
- https://www.persol-bd.co.jp/service/bpo/s-bpo/column/back-office-outsourcing/
- 士業の独占業務(税務申告=税理士、労働・社会保険手続き=社会保険労務士、官公署提出書類=行政書士)。根拠は税理士法・社会保険労務士法 第2条・行政書士法 第1条の2(確認日 2026-09-11)
- 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)」(確認日 2026-09-11)
- https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/gigi_outou01.html
- 事務代行・バックオフィス代行の料金相場は各社が公開する相場情報を確認(2026年9月時点)
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