書類作成代行の料金と依頼できない書類

書類作成代行の料金は、1枚単位・月額固定・従量課金の3体系に分かれます。A4資料1枚あたり2,000円程度から、月額型なら10時間で2万5,000円程度からが目安です。
ただし料金より先に確認すべきことがあります。資格者しか作成できない書類があるためです。許認可申請や税務書類は、外注先が誰でも受けられるわけではありません。
この記事では、外注できる範囲の見分け方と料金体系の選び方、依頼前に準備しておくことを整理します。
本記事は2026年8月時点の各社公開情報に基づきます。料金は改定される場合があります。
まず確認する4項目
外注できる書類かどうかを、料金より先に確認してください。
| # | 確認項目 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 1 | その書類は資格者の独占業務にあたらないか | 官公署・税務・登記・社会保険が絡むなら要確認 |
| 2 | 月にどれくらいの量が発生するか | 料金体系の選択が変わる |
| 3 | 元データは揃っているか | 揃っていないほど工数が増える |
| 4 | 社外に出してよい情報か | 取引先名や個人情報が含まれていないか |
1で引っかかると、そもそも依頼先が変わります。順番を間違えないでください。
外注できない書類がある
報酬を得て他人の依頼で作成する場合、資格者しか扱えない書類があります。
これは代行会社の方針ではなく、法律で定められた区分です。主なものを挙げます。
| 書類の種類 | 扱える資格 | 根拠となる法律 |
|---|---|---|
| 官公署に提出する書類(許認可申請など) | 行政書士 | 行政書士法 |
| 権利義務・事実証明に関する書類(契約書、内容証明など) | 行政書士 | 行政書士法 |
| 税務申告書類 | 税理士 | 税理士法 |
| 登記申請書類 | 司法書士 | 司法書士法 |
| 労働・社会保険関係の書類 | 社会保険労務士 | 社会保険労務士法 |
一般的な事務代行サービスに依頼できるのは、この区分に当たらない書類です。具体的には以下のようなものが該当します。
- 社内向けの報告書、企画書、提案資料
- 会議の議事録
- 請求書、見積書、発注書などの取引書類
- プレゼン資料、チラシ、カタログの原稿
- データ入力を伴う各種の集計表
「書類作成代行」という言葉の範囲は広く、どこまでを指しているかはサービスによって異なります。 問い合わせの段階で、扱ってほしい書類を具体的に伝えてください。
会社設立のように分かれるケースもある
同じ手続きの中でも、書類によって担当が変わることがあります。
会社設立では、定款の作成は行政書士が扱えますが、登記申請は司法書士の領域とされています。1つの案件を1か所に任せられるとは限りません。
同様に、助成金の申請でも、厚生労働省が所管するものは社会保険労務士の領域とされています。
判断に迷う場合
専門家に確認してください。 当社は法律事務所ではないため、個別の書類がどの区分に当たるかを判断することはできません。
判断の目安として、以下に該当するものは確認が必要です。
- 官公署(役所、法務局、税務署、労働局など)に提出するもの
- 税務、登記、社会保険に関わるもの
- 契約書や内容証明など、権利義務に関わるもの
なお独占業務の規定は「報酬を得て」「業として」行う場合が要件とされています。自社の従業員が自社の書類を作成することは、この規定の対象外です。
料金体系は3つある
依頼量が読めるかどうかで、選ぶべき体系が変わります。
| 体系 | 目安 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 成果型(1枚単位) | A4資料1枚 2,000円程度から | 発生が不定期・単発 |
| 月額固定 | 月2万5,000円〜3万8,000円程度(10時間から) | 毎月一定量が発生する |
| 従量課金 | 稼働時間に応じて変動 | 量の変動が大きい |
いずれも各社の公開価格から見た目安です。専門性の高い資料や、グラフ・図表を多用するものは単価が上がります。
事務代行全般を包括的に委託する場合は、月額5万〜30万円程度が相場とされています。経理や人事労務など専門性の高い領域では、15万〜30万円程度になります。
安い体系が得とは限らない
単価だけで比較すると判断を誤ります。
1枚2,000円の成果型は、月に2〜3枚なら割安です。しかし月20枚発生するなら、合計4万円になります。月額固定の10時間プラン(2万5,000円程度)のほうが安くなる可能性があります。
逆に、月によって発生量が0枚から30枚まで振れる場合、月額固定では使わない月の費用が無駄になります。
まず自社の発生量を1〜2か月記録してから選んでください。 体感で決めると、どちらの体系でも損をします。
繰り越しの有無を確認する
月額固定型では、使わなかった時間を翌月に繰り越せるかが各社で分かれます。
書類の発生量に波がある場合、繰り越しができるかどうかで実質的な費用が変わります。契約前に必ず確認してください。
最低契約期間も確認する
月額型では、契約期間で単価が変わる料金設定が一般的です。
12か月契約なら月額が下がるが、3か月契約だと高くなる、といった形です。試したうえで判断したい場合、最低契約期間と途中解約の条件を先に確認しておく必要があります。
稼働開始までの日数も各社で異なります。最短で数日から動けるサービスもあれば、業務内容のヒアリングに時間をかけるサービスもあります。急いでいる場合は、契約から稼働までのリードタイムを確認してください。
依頼前に準備しておくこと
元データの整い方で、かかる工数と費用が変わります。
同じ「請求書の作成」でも、案件ごとの金額と明細が表計算ソフトに整理されている状態と、メールやメモに散在している状態では、必要な作業量が変わります。
依頼前に用意しておくと効果が大きいのは以下です。
- 元データを1か所にまとめる(表計算ソフト、共有フォルダなど)
- 完成イメージの見本を1つ渡す(過去に自社で作成したもの)
- 判断が必要な箇所と、機械的に処理してよい箇所を分けて伝える
3が特に重要です。判断基準を伝えていないと、毎回確認のやりとりが発生します。
たとえば請求書の作成なら、「値引きの扱い」「端数処理」「備考欄に何を書くか」といった判断が発生します。これらを最初に決めておけば、以降は機械的に処理できます。
決まっていない場合は、依頼を機に社内で決めるのが結果的に早道です。外注できない状態のまま渡しても、確認が往復するだけになります。
外注しても減らない工数がある
「丸投げできる」と考えると期待外れになります。
外注しても残るのは、以下の時間です。
- 依頼内容を伝える時間
- 上がってきたものを確認する時間
- 修正を依頼する時間
作業そのものは減りますが、これらは残ります。月に5時間かかっていた作業を外注して、確認に1時間かかるなら、削減できるのは4時間分という計算になります。
最初の1〜2か月は、指示の仕方が固まるまで確認の時間が多めにかかります。初月の負担だけで判断しないでください。
社外に出す情報の範囲を決める
見積書や請求書には取引先名が入ります。顧客リストや従業員の情報を含む書類もあります。
依頼前に、どこまでを社外に出すかを決めてください。 秘密保持契約の締結は前提として、以下も確認しておくと安全です。
- 作業に使うツールとデータの保管場所
- 作業終了後のデータの取り扱い
- 再委託の有無
個人情報を含む書類を扱う場合は、利用目的の範囲内かどうかの検討も必要になります。
代行側が生成AIなどの外部サービスを使って作業する場合、そこにデータが入力される可能性もあります。気になる場合は、使用するツールを事前に確認してください。
依頼先を1社に絞るか分散するか
書類の種類が複数にまたがる場合、依頼先を分けるか1社にまとめるかの判断が出てきます。
1社にまとめると、社内の状況を説明する手間が1回で済みます。一方で、その1社が対応できない領域が出てきたときに、改めて別の依頼先を探すことになります。
最初は発生量が最も多い書類から1種類だけ依頼して、進め方が合うかを確認するのが無理のない始め方です。
当社も事務代行を提供する事業者として、こうした確認事項は依頼前に整理していただくようお願いしています。
参考
料金の目安は、2026年8月時点で各社が公開している価格情報をもとにしています。実際の費用は依頼内容によって変わるため、個別にお見積りください。
資格者の独占業務については、行政書士法、税理士法、司法書士法、社会保険労務士法の各法令をご確認ください。個別の判断については専門家にご相談ください。
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