施工計画書はAIでどこまで作れる?任せる項目と人が持つ判断

施工計画書はAIでどこまで作れる?任せる項目と人が持つ判断

施工計画書の下書きには、AIを使えます。ただし、施工計画書を守って施工する責任は受注者にあり、AIが書いた文章でもこれは変わりません。記載事項16項目のうち、定型的な項目はAIに下書きを任せ、施工方法や安全管理など現場の判断が要る項目は人が書く、という分け方が基本です。この記事は国土交通省「土木工事共通仕様書(案)令和7年3月」をもとに、土木工事の施工計画書を扱います。発注者の特記仕様書がある場合は、そちらに従ってください。

目次

施工計画書16項目のうち、AIに任せられる項目・人が判断する項目

施工計画書は記載事項が決まっているため、項目ごとにAIに任せるか人が書くかを先に決めると手戻りが減ります。土木工事共通仕様書の「1-1-1-6 施工計画書」は、記載事項を16項目と定めています。

下の表は、その16項目を3つに分けたものです。分け方は国の基準ではなく、当社の整理です。

記載事項(1-1-1-6)AIに下書きを任せるAI下書き+人が確認人が判断して書く
(1) 工事概要○
(2) 計画工程表○
(3) 現場組織表○
(4) 指定機械○
(5) 主要船舶・機械○
(6) 主要資材○
(7) 施工方法(主要機械、仮設備計画、工事用地等を含む)○
(8) 施工管理計画○
(9) 安全管理○
(10) 緊急時の体制及び対応○
(11) 交通管理○
(12) 環境対策○
(13) 現場作業環境の整備○
(14) 再生資源の利用の促進と建設副産物の適正処理方法○
(15) 法定休日・所定休日(週休二日の導入)○
(16) その他○

分けた基準は3つです。

  1. AIに下書きを任せる: 定型文が多く、過去の施工計画書の流用が効く項目
  2. AI下書き+人が確認: 型はあるが、工事ごとの数値や機械・資材の名前が入る項目
  3. 人が判断して書く: 現場固有の条件で中身が決まり、事故や工程に直結する項目

現場組織表と緊急時の体制は、氏名や連絡先が入るため人が書く区分にしています。なお、維持工事など簡易な工事では、監督職員の承諾を得て記載の一部を省略できます(1-1-1-6)。

AIに任せられないこと:責任・現場判断・発注者ごとの様式

AIで下書きをしても、施工計画書の内容に責任を持つのは受注者です。この点は、外注やツールでは移せません。

土木工事共通仕様書は、受注者が施工計画書を遵守して施工にあたることを求めています。AIが書いた工法をそのまま採用すれば、その工法で施工する責任を負うことになります。

監督職員は、施工計画書に補足を求めたり、詳細施工計画書の提出を指示したりできます(1-1-1-6)。中身を説明できない計画書は、差し戻しの原因になります。

様式にも注意が必要です。共通仕様書に加えて、地方整備局や自治体ごとに特記仕様書があり、改訂の時期も違います。たとえば中部地方整備局は、令和7年9月改訂版の特記仕様書を公開しています。発注者ごとに様式が違うため、汎用のAIの出力はそのままでは合いません。

もう1つ、誤解の多い点があります。国土交通省は令和8年7月29日付で、生成AIの利活用に関する通知を出しました。この通知の対象は建設コンサルタント業務等(測量・設計・地質調査など)で、工事は対象業務に含まれていません。

通知では、生成AIで成果をまとめる業務に「生成AI利活用計画書」の提出を求めています。工事の施工計画書にこの計画書が必要とは定められていません。ただし、発注者が特記仕様書で別に定める場合はあるため、契約図書を確認してください。

AIの下書きでうまくいかないケースと、提出前の確認手順

AIの下書きは、古い基準の引用・現場条件の欠落・根拠のない数値の3つで誤りやすくなります。提出前に人が突合する手順を決めておくことが欠かせません。

うまくいかないケース

  1. 古い版の条項番号や基準を引用する。 施工計画書の条項は、令和7年3月版の共通仕様書では「1-1-1-6」です。一方、令和6年3月発行の東北地方整備局の資料では「1-1-1-4」と表記されています。旧版をもとにした文章を学習・参照したAIは、古い番号を書くことがあります。
  2. 現場固有の条件が抜ける。 近隣の状況、交通規制、地下埋設物などは、設計図書や現地調査にしかない情報です。入力しなければAIは書けません。
  3. 根拠のない数値が入る。 個人情報保護委員会は、生成AIの応答には不正確な内容が含まれることがあると注意喚起しています。もっともらしい数量や工程が入っても、根拠があるとは限りません。

提出前の確認手順

  1. 引用している仕様書・基準の版と条項番号を、発注者が指定する版と照らし合わせる
  2. 数量・工程・機械の台数を、設計図書と数量計算書に突合する
  3. 現場条件(近隣・交通・埋設物)を、現場代理人が追記する
  4. 特記仕様書が求める記載項目が、すべて入っているか確認する
  5. 人名・会社名・連絡先・資格の記載に誤りがないか確認する

AIに入力する前に伏せる情報

施工計画書の材料には、個人情報や発注者の情報が含まれます。入力前に氏名や連絡先を伏せることを、作業手順に組み込んでおきます。

伏せる情報含まれる記載事項・資料
氏名・電話番号・資格情報現場組織表、緊急時の体制及び対応
作業員の個人情報作業員名簿などの添付資料
発注者の非公開情報契約上の秘密保持の対象となる図面・資料

個人情報保護委員会は、生成AIに個人情報を入力する場合、利用目的の範囲内か十分に確認するよう求めています。あわせて、入力したデータが機械学習に使われないことの確認も求めています。個人情報を扱う事業者の立場から、この確認は実務上欠かせません。

AIで量産する前に、書かなくてよい書類を減らす

AIで書く量を増やす前に、発注者が「出さなくてよい」としている書類や添付を外すほうが、作業時間は確実に減ります。建設業には令和6年4月から時間外労働の上限(原則として月45時間・年360時間)が適用されており、書類の時間を減らす必要性は高まっています(厚生労働省)。

国土交通省の地方整備局は、工事書類の簡素化を示しています。東北地方整備局「工事関係書類簡素化のポイント」(令和6年3月)から、施工計画書に関わるものを挙げます。

対象簡素化の内容
変更施工計画書変更箇所のみを抜粋して提出してよい。工期末の精算変更など軽微な変更は提出不要
提出時期照査や概算数量発注で内容が決まらない場合は、決まってから提出してよい
機器・ソフトウェア施工計画書に記載する機器やソフトウェアのカタログ添付は不要(名称のみ記載)
工事検査書類検査は施工計画書を含む10書類に限定。不要な書類を作っても工事成績評定では評価されない

簡素化の運用は、地方整備局や発注者によって異なります。着手前の打合せで、何を省略してよいかを監督職員と確認してください。

AIツール・外注・自社の分担を決める

ツール選びより先に、AI・外注・自社のどこで誰が何をするかを決めると、効果が出るかどうかを判断できます。

施工計画書の下書きを生成するAIは、複数の建設会社やソフトウェア会社が発表しています。過去の施工計画書や発注者の施工管理基準を読み込ませて、下書きを作る方式が中心です。発表されている削減効果は各社の試算で、工事の規模や入力する資料などの前提が異なります。自社でも同じ効果が出るとは限りません。

効果を左右するのは、過去の施工計画書が使える形で残っているか、発注者ごとの様式が整理されているかです。分担は次のように考えます。

工程内容担い手
1. 材料の整理過去の施工計画書・特記仕様書・設計図書を集め、個人情報を伏せる自社または外注
2. 下書き表の「AIに任せる」「AI下書き+人が確認」の項目を生成AI
3. 整形・突合発注者の様式に合わせ、数量・工程・版を突合する自社または外注
4. 判断施工方法・安全管理・緊急時の体制を書き、全体を確認現場代理人
5. 提出監督職員へ提出し、補足の求めに対応する自社

様式合わせや転記などの定型作業は、外注にも向いています。書類作成を外注する際の確認事項は書類作成代行で、自社でやるか外注するかの判断はバックオフィス効率化で扱っています。外注で任せられる範囲と任せられない範囲は、BPOとはで整理しています。

書類業務のどこにAIを使えて、どこは人が持つべきか。現状の書類と手順を伺ったうえで、効率化の進め方を相談できます。

参考


その業務、まるごと任せませんか

当社は月額16,000円(40時間分)からアウトソーシングをお引き受けしています。業界でも最安の水準です。

データ入力、経理仕訳、営業事務、動画編集など、事務からITまで幅広い業務に対応しています。初期費用は不要で、最短1週間から導入できます。

どこまで任せられるか分からない段階でもかまいません。まずはご相談ください。

お問い合わせ
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次